玄奘大学でのシンポジウムが台湾の経済新聞に取り上げられました

2017年12月18日に台湾・新竹市の玄奘大学で行った日台中香・国際学術シンポジュウム「新興国における腐敗防止と法」が、台湾で最も歴史があり発行部数No.1の経済新聞である「経済日報」に記事として取り上げられました。同シンポジウムが、社会的にもインパクトのあるシンポジウムであったことの証左といえるでしょう。

記事では、このシンポジウムは、日本の国際取引法学会と玄奘大学が共同主催し、Taiwan Institute of Ethical Business and Forensicsと日本の一般社団法人GBL研究所が協賛して開催されたことを紹介した上で、シンポジウム主宰者の一人であり普華商務法律事務所の主任弁護士である蔡朝安氏の次のような要旨の談話を掲載しています。

・「グローバルな経済取引の急速な発展に伴い、各国企業は、海外市場において自社の事業版図を開拓し、海外における市場競争力の優位を増すために、不正競争行為により海外の公的部門や公務員に対して贈賄を行う。これは、企業全体のイメージに重大な影響を及ぼすのみならず、国際市場においてあるべき公正な競争秩序を破壊することにもなる。」
・「新興国、特に政治が不安定な発展途上国においては、現地の公務員に不公正な利益を提供し、又は贈賄を行う必要がある場合が多い」としてシンポジウムでの発表でも取り上げられたナイジェリアでの日揮株式会社による同国の液化天然ガスプロジェクトに関する贈賄事件に触れ、「グローバル企業の経営者は、国際経済秩序のルールを適切に遵守するという企業の社会的な責任を負わなければならない。公正衡平な企業経営によってのみ世界経済の有効な発展を促進させることができるからである」と述べています。
・「台湾において「企業の贈賄」は公務員の廉潔の問題と比べて議論の程度は低いものの、実際には企業の贈賄は市場の公正な競争を害するのみならず、公私部門の人員による職務執行の公正性にも影響し、その重要性は公的部門の腐敗の問題に留まるものではない。腐敗防止の趨勢において、法治を徹底するためには政府と民間の力を結合して関与することが必要である。」
・「企業にとっては、有効な内部統制や評価監督メカニズムを構築し維持することを通じて、贈賄行為の発生率を低下させ、企業のコンプライアンス経営の原則を実践し、永続的な発展という目標を達成することができるのである。」