循環取引による不正と法務対応
循環取引は、昔からある企業不祥事の一類型ですが、問題の大きい取引であると認識されながらも、定期的に発生している企業不祥事類型です。
循環取引については、法律上又は会計上定まった定義があるものではありませんが、その商流に着目して、「連続する売買契約等において、最初の売主等と最後の買主等が同一となる取引形態」(すなわち、円環を構成している取引形態)と説明されます。
しかしながら、実際には、円環を構成している取引が全て問題となるわけではありません。
循環取引の最大の問題点は、企業が循環取引を行うことにより、売上の架空・過大計上等が生じる結果、当該企業の財務諸表がその財務状態を正確に表示しなくなる(すなわち、会計不正が発生する)こと、さらには、そのような取引を継続中に円環の一角を構成する企業が破綻したときには、参画する全企業にその影響が及び連鎖的に破綻する企業もでてくるところにあります。
この「循環取引」について、当研究所の理事でもある遠藤元一弁護士が、第一法規株式会社の月刊誌「会社法務A2Z」の2013年9月号に「時事解説」として掲載された「循環取引による不正と法務対応」を、第一法規さんのご了解を得てpdfで転載させていただきます。