「ビジネスに関わる行政法的事案」第24回:「選択」、特に徹底のための選択を考える―土地利用計画への示唆

第24回:選択」、特に徹底のための選択を考える―土地利用計画への示唆     神山 智美(富山大学)

 

アラフォー婚活女性の望み―「年収1000万円」「30代」「高橋一生似」

興味深い記事を読みました。結婚相談所での婚活の場面でのお話です。その中に登場する結婚相談所の佐藤さんは、「女性が結婚相手に求めるのって、だいたい『顔』と『年収』と『人柄』の三つなんですけど、まずは、それを一つに絞ることがすごく重要なんです。二つ捨てて一つ選ぶ。それがうまくいくコツ。・・・」と語っていることが紹介されています*1。

「顔、年収、人柄、二つ捨てて一つ選べ」とはなんとも衝撃的ですが、「選ぶ」というのはそういうことかもしれないと思います。

なぜ、いきなり結婚相談所のお話なの?といわれそうですね。法律とは離れてしまいそうですが、「撤退のための選択をせねばならない」それも自分のなかの諸々の気持ちを整理して納得する、「合意形成」が求められているという究極の場面での判断を、今回のテーマとさせていただきます。

 

*1:大泉りか「『年収1000万円』『30代』『高橋一生似』と結婚したいアラフォー婚活女性を待ち受ける試練」女のライフハック

  2019年9月24日デイリー新潮掲載 https://www.dailyshincho.jp/article/2019/09241100/?all=1&page=3

 

 

少子高齢化社会の土地利用計画とは

人口減少化社会といわれます。人口減少は、ある意味「望んだ結果」と言えます。人口増の時代に、その抑制が求められていたからです。しかし、ある意味「番狂わせ」だったのは、年齢層ごとの人口バランスが崩れることと、都市部と農山漁村部の過密・過疎の極端な現れではないでしょうか。

平たく言えば、「お年寄りがこんなに長生きする社会になると思わなかった」「高学歴女子が増えて結婚年齢が高くなった」「合計特殊出産率(1人の女性が生涯に産む子どもの数)が1.42(2018年の数値)」「子どもの数が減ってきている、一人っ子ばかりよ」「子どもの数よりペットの数の方が多いわ」「田舎にはお年寄りばかりよ」「人口減少どころか故郷の村がなくなるらしい」等という言葉に表されるのではないでしょうか。

 

極点社会」と増田レポートとは

こうしたなかで、「極点社会」という言葉が生まれています。NHK「クローズアップ現代+」のNo.3493(2014年5月1日放送)「極点社会~新たな人口減少クライシス~」でも扱われています。

極点社会とは、デジタル大辞泉では、「地方から都市部への人口の流出が進み、大都市圏に人々が凝集して生活している社会。大都市での結婚・出産・子育ては地方に比べて困難なことから、出生率が低下し、人口の減少が加速する。」と説明されています。これは、従来の過疎・過密問題に加えて、“新たな地方から都会への人の流れとそれに伴う人口減少”として「極点社会」の出現という現象があるということです。

東京では今、地方の社会福祉法人が次々に高齢者施設の建設を進めています。地方の介護産業が、高齢者を求め東京に進出しているのです。このように、介護や医療といった社会保障分野の労働力需要が、今後、地方から東京へ大きくシフトしていきます。そのため、都市へ、労働者としての若年女性たちの流入が続くことが予測されています。都市部での婚姻率は男女ともに低く、結婚しても女性は多くの子供を産みませんので、自ずと人口減に拍車がかかるわけです。

2014年5月8日、民間の有識者による日本創成会議(座長:増田寛也東京大学大学院客員教授、元総務相)の人口減少問題検討分科会は、「全国1800市区町村別・2040年人口推計結果」を公表しました。これが、座長の名前をとって、いわゆる「増田レポート」といわれるものです。

それによれば、地方からの人口流出が続く前提で、2040年にまでに若年女性(20-39歳)の人口が50%以上減少し、消滅する可能性がある市区町村は全国に896あり、なかでも人口が1万人未満で消滅の可能性が高い市町村は532にのぼるという結果になっています。

 

これにより、「対策しない市町村は消える」という危機感が広がり、自治体消滅を防ぐための「地方創生(移住者促進)」と「少子化対策」が各地で盛んに行われるようになりました。

 

現実的な対応としての種火集落の温存

林 直樹、齋藤 晋、江原 朗著『撤退の農村計画 : 過疎地域からはじまる戦略的再編』(2010、学芸出版社)は、現在の過疎集落からの撤退として、“もう少し便利な地方小都市“への集落移転を提案しています。そして撤退した跡地などを、できるだけ荒らさないように管理していくことを取り上げています。

たしかに、東日本大震災の被災者も、移転先は東北および関東で80%を占めています*2。何の縁故もない地域には移転しづらいのもうなずけますね。

 

*2:復興庁(2019年3月29日発表)「所在都道府県別の避難者数(平成31年3月11日現在)」による

 

中山間地域で上記の“もう少し便利な地方小都市“の役割を担うのが、中山間地域の拠点となる「種火集落」です。集中拠点というべきものです。

種火集落の主要任務は、その地域一帯の代表として文化の伝承をすることと、拠点として存続することです。民俗知(生活知)は文化と言え、これらを守り継承することや、遠方からのUIターン者も誘導し、その地域の拠点として存続していくことは、とても重要になります。

民俗知(生活知)とは、そこに住む人々の歴史のなかで培われた、知識の総称です。例として山村では、自然を枯渇させることなく継続的に利用する民俗知、経験知、技術知によって形成され、維持されてきました。そうした知識も、「文化」の要素といえます。

こうしたものを「文化」と捉えられることが「誇り」ではないでしょうか。人々のなかにある「誇り」を大事にした制度設計や政策が求められています。また、「文化」の火種を残しておくことも、また思い出せるように博物館や民俗資料館に収集することも重要な試みとなります。

ちなみに、「種火(たねび)」ってわかりますか?囲炉裏や火鉢のなかに残しておく、「火をおこすために用意しておく、小さな火。ひだね。」と説明されています。それが消えてしまうと、火おこしに手間取るので、細々ながらも大切に残しておくものと捉えると良いでしょう。

 

各地で始まるコンパクトシティ構想移住者・定住者導入のための試み

もはや、何も努力しない市町村は消滅するとさえ言われるようになっています。人口は自然減していくのですが、それにも増して、インフラストラクチャ―(道路・橋梁・鉄道・港湾・ダム・上下水道・通信施設など産業基盤の社会資本、および学校・病院・公園・社会福祉施設等の生活関連の社会資本など)が老朽化していくので、それの整備が追い付かないのです。

そのため、いくつかの市では、コンパクトシティ構想の実現が実施されています。低密度な地域を整理して、できるだけ高密度な地域に人口を集約し、それらをネットワーク化(つなげて)して効率的な市街地を形成することです。これであれば、高齢者も、生活に必要な諸機能が近接した効率的な暮らしができますので、持続可能性の高い街づくりであるとも言われています。

また、移住者・定住者を増やすための試みも実施されています。地域おこし協力隊*3も、そうした試みのうちの一つです。

しかし、

コンパクトシティ構想も、移住者・定住者を増やす試みも、住民に強制はできず、あくまでも促進・推進する仕組みです。また、若年層の移住者・定住者を欲しているのはどこの市町村もですので、「取り合い」になるわけです。国の内部で「取り合い」をしても、「コップの中の争い」に過ぎませんね。

 

*3 :地域おこし協力隊とは、2009年にスタートした都市部から過疎地などに生活の拠点を移し地域協力活動をしながら定住・定着を目指す総務省の制度のこと。

 

地方の生活の何に魅力を感じるか?

この求人難の時代に、地方の会社の求人にひとが殺到したというニュースを読みました。夏目幸明著「『昼休みはサーフィンできます』という会社の求人に応募が殺到した話」*4です。映画「波乗りオフィスへようこそ」*5のモデルとなった企業「サイファー・テック」に関する記事です。同社の代表は、現在は地方創生・地域振興事業に取り組む企業「あわえ」も経営する吉田基晴氏です。

なかでも、私が興味を持ったのは、 “都会は「貨幣交換型の社会」で、田舎は「価値交換型の社会」だ”という記述です。

都会では多くのモノとサービスがお金で買えます。一方で田舎では、通信販売もありますが、お金を持っていてもモノやサービスを好きなように手に入れることは難しいです。それでも、「鰹が釣れたから飲もう」と誘ってもらえたり、畑で穫れた野菜をもらえたりします。一方、草刈りやお祭りの準備も頼まれ